■サイゾー2003年9月号「マガ人」掲載

「酒とつまみ」・大竹聡編集長(当時)インタビュー

週に5日は二日酔い!? 酒臭くてもデキる営業マンのマガ人

−−はじまして! って、顔が赤いんですけど!!
大竹(以下・タケ) 実は、もう酒飲んでますよ〜。ちょっと待ってね、今この仕事片づけちゃうから。
−−うー、ビール片手に仕事なんて、うらやましい!
タケ 実は私、ライターとしての仕事もしていて、初めての雑誌で原稿を書くときは、飲んでから取りかかることが多いんです。取材も終わって材料も揃っているのに、いろいろ気になって書き出せないことがある。そんなとき、景気づけのために飲む。小心者だからなのだよ(グビグビ)。
−−さすが、「酒とつまみ」の編集長。お酒も強いんでしょうね。
タケ それが違う。本物の酒豪って、何杯飲んでも変わらないでしょ? 私は飲むとはしゃいじゃって、何も覚えていないってこともよくあるんだよね〜。ウイスキーを10杯くらい飲むともうダメ。でも、飲むのは大好き。酔っぱらいを見ているのも好き。人はお酒でヘンになる。ケンカっ早くなったり、ゲロをまき散らしたり、脱糞したり。実に愉快じゃないですか!
−−たしかに、こちらの雑誌は、酔っぱらいへの愛が溢れています。「酔っぱらいは、なぜ家にたどりつけないのか」というお題で、討論してますね。
タケ ああそれ? 私の話ですよ(酒つま編集部注:すべてではありません、念のため)。もともとこの雑誌をつくったきっかけは、ン十年間、酒を飲み続けることによってしでかしてきた私のおバカな行為をどこかに書き残しておきたかったから。それに、私、“究極の酒・つまみ・居酒屋”などのウンチクには、あまり興味ないの。こだわらないし。この本に載っているのは“オヤジ系雑誌”の記事で取材した名門旅館で、ゲロ吐いた失敗談とかだよ。それもネタになるから、ライターの仕事が楽しくなりました。
−−それで雑誌が売れたら、儲かるし、万々歳ですね。
タケ いやいや、儲かりませんよ! 創刊号は初めに500部刷って、その後に500部、さらに1000部追加して、合計2000部売れたんですが、ほとんどわれわれの持ち出しですよ。だいたいこの本で儲けるつもりはないです。値段をつけていいのか?と思ってるくらいなんだ。ただなあ、お酒を飲まないとネタが拾えないから、どんどん懐が寂しくなっていく。でもいいんです! 書店の方に「売れてますよ」と言われることが何よりもうれしいから。この喜びは、ライターでは得られないもんだ(グビグビ)。だからね、営業にも力が入りますよ。そういえば、カバンにこの本をたくさん詰めて、「『酒とつまみ』です、大酔っぱらいの本です。よろしくお願いします!」って、某有名書店の仕入れ部の方に突撃営業をかけたら、「あんたね、こういう雑誌だからって、酒臭くていいと思っているの?」と、怒られちゃいました。が、その日から置いてもらえましたよ〜。
−−いいなあ。酒臭くても許されて。お酒を飲むのも仕事ですもんね。
タケ たしかに、1週間に5日は二日酔いです(きっぱり)。でも、“仕事だから”という気持ちで酒を飲みにいったことは一度としてありませんよ! この本も、仕事と思ってつくってないし。すべては楽しいから。でも、連載中の「ホッピーマラソン」は、つらいと思うときがある……。
−−ホッピーマラソン?
タケ これは中央線の始発駅から終点までの居酒屋を1軒1軒飲み歩いて制覇するという企画なんだけど、ホッピーしか飲んじゃいけないんだよ! 凍えるような冬の夜もホッピーだよ! しかも、1軒につき1杯で済ますというわけにもいかないから、飲む、飲む、飲む。さすがに体がもちませんよ。でもね〜、ホッピー飲んでいる人で嫌味なヤツに出会ったことがない。閉ざされた感じで飲んでいる人もいない。話しかけると、みんないい話をしてくれるんだ、これが。そうだ! これからホッピーを飲みに行きませんか? 取材はもうおしまいだぁ!
−−は、はい、お供します!

(取材・文/サイゾー編集部)

※掲載内容は他にも顔写真とプロフィールがありましたが、本人による「おねげえしますだ、おでえかんさまあ」的ウソ泣き45%注入の抵抗にあい、今回はやむなく見合わせました