■2003年4月21日(月)〜4月30日(水)■

4月30日(水) よし、飲んじまおう!            文責:タケ
 日曜日の朝に始まった左手の痺れ感のせいで、なんだか恐くて仕方がない日々を送っている。いつバタンとぶっ倒れてしまうのか、と考えるだけで、心なしか眩暈がするという弱気さ。今夜だけは酒を抜いてみよう。たとえ酒場に行かなくてはならないにしても、そこでウーロン茶を飲めばいいじゃないか。そう考え考え街を歩く。面白くも何ともない。病院へ行って診察してもらうか? いやいやそんなことしたら脳ばかりかありとあらゆる所を調べ上げられたあげく「なんですかこのγ―GTPは! やややや、胃潰瘍もありますな。血圧も、血糖値も、なんもかんもよろしくない、このまま入院してもらいます」なんてことになるに決まってる。いやだ。なんとかして心を落ち着ける方法はないか。そこでふと思いついた。酒が原因であるならば、酒を飲みつづければ症状は少しばかり悪化するはずである。つまり酒を飲んで経過を観察し、しかる後に合理的判断を下せばよいのではないか。いや、そうだ。実にまったくその通りだ。よし、飲んじまおう! ということで、月曜日に飲み、休日の火曜日も自宅で飲み、そして30日は、小生の40歳の誕生日なのであるが、なんと国分寺でホッピーマラソンを敢行したのである。目当ての店が満席で入れず、別のもつ焼き屋でビールを呑み始め、目当ての店に入れるとすぐにホッピーに切りかえる。画家のMさん、某誌編集長のKさんも駆けつけてくれて、一緒にホッピーをがぶ飲み。その後、すし屋へ場所をかえて日本酒を熱燗で、グイグイいく。さらに他2名と分かれた後は吉祥寺へ直行、酒とつまみ編集WクンとアシスタントのY子ちゃんに合流。へろへろ。2杯飲むのがやっとという状態で席を立った。

4月27日(日) 飲み過ぎの祟りと赤ん坊         文責:タケ
 良い天気。深大寺を散歩。そば屋でビール。神代植物公園のバラ園の芝生で昼寝。ああ良い気分だ。ところが、朝から気になっていたことがあり、いまいち気分が晴れない。飲み過ぎの祟りか、左手が痺れたみたいになっていて、それが気になって仕方が無い。極度の肩凝りを持病とする小生、以前にも両手が痺れるようなところまでいってしまったことがあるが、片手だけというのが実に恐い。とうとう脳がイカレタか、などと思いながら晴れ渡った空を見る。ヨチヨチ歩きの赤ん坊が側に寄ってきて小生の目の前でペタンと尻餅をついた。驚いたような顔でこちらを見ている。オイ君、大きくなってもあまりのみ過ぎちゃいけないよ……。こちらが勝手なことを考えていると、鳥の姿に気を奪われたか、赤ん坊はすっと空を見上げた。その横顔の新しさ、瑞々しさ。生まれて40年も経つと人間もずいぶん古くなる。しかも、あんないい顔をしている頃の記憶はないときている。やっぱ飲むしかないか……。

4月26日(土) 府中、国立、小金井、吉祥寺、嗚呼!      文責:タケ
 午後から府中競馬場。新装開店の馬場、芝がひときわ美しい。目の前を駆け抜ける馬の姿に魅了されつつ生ビール。二日酔いでうまく入っていかないもどかしさを感じつつレースではまたまた惨敗。1勝3敗で飲み代を稼ぐこともできず、うな垂れて府中本町駅へ。編集Wクンと合流して南武線で谷保下車。国立駅へ向けて歩く。ホッピーマラソンの候補となる店探し。ところが、ない。見つからない。ピンチ。どなたか、国立でホッピーを飲める店、知りませんか。我々が見つけたのはカウンター10席もない縄のれん。しかしここが良かった。店探しで30分ほど歩いた後のこと、喉も乾いて、ついでにいえば昨日の酒も抜けてバッチリ。大瓶のビールをグラスに注いでひと息で1杯目を流し込む。いや旨い。レバ刺しが、冷奴が、旨い。結局ビールを3本空けて武蔵小金井へ移動。ホッピーマラソンの続きに突入した。ここも良いお店。リラックスして3時間ほどホッピーを飲む。ここで終わりか。終わらない。どうしてこうバカなのか。吉祥寺へ移動してバーへ赴く。しかしもう限界だった模様。まだ零時は過ぎていないのだが、最初に頼んだブラディメアリーが空になる頃には、またまた目の前がボワッとしてきてノックアウト寸前。あえなく店を出た。

4月25日(金) 謎の男、ホッピーマラソンを伴走     文責:タケ
 先日、読者ハガキをいただいた。にっしぃと名乗る人物からのハガキ。その文面の一行目に、こんちにはタケさん、といきなり書いてあった。その圧倒的なフランクさに影響されてこちらも気軽に、こんにちはにっしぃ、なんてメールを送ったら、ホッピーマラソンの伴走を買って出てくれることに。そこで午後6時、にっしぃと東小金井駅で合流。南口にあるお店へと向かった次第。ホッピーを飲みながら、お互いに自己紹介、店の大将にも時々話に加わってもらいながらガンガンいった。にっしぃは話もおもしろいし、酒も強い。国分寺へ移動し、今度はバーの客となる。創刊号にエッセイを寄稿してくれた画家の牧野氏も駆け付けてくれ(というよりすでに自宅で寛ぎにかかっていたところを無理やり呼び出して)賑やかに飲み進めた。目の前がボワっとなってきたので時計を見ると零時半。いやいや、よく飲んだ。喋りすぎ、飲みすぎ、吸いすぎで喉が痛む。店を出ると外は、頬に心地よい小雨だった。

4月24日(木)
 次代のホッピーマラソンランナーは?     文責:ナベ
 「文責:タケ」ばかり続くのも何なので、ここらで選手交代。
 今日は編集部を訪れた22歳青年を交えO氏とI氏とともに飲む。秋葉原のガード下、ハードロックが流れるイカした立ち飲み屋だ。頼んだのはもちろんホッピー。ゴクゴク飲み干す青年を見て、「次代のホッピーマラソンのランナーは君だ!」と叫ぶO氏。「それならキミ、東海道本線で行く日本縦断ホッピーマラソンをやってみてくれ」「裸の大将の格好をして線路を歩いていくのはどうだ?」 勝手なもので、自分には関係ないとなると我々は無謀な企画ばかり思いつく。青年が今日の訪問を後悔していなければいいのだが……。珍しく早い解散だったので午後10時半に吉祥寺到着。普段ならすぐさま一人でもう一軒飲みに行くところだが、しばし悩む。日頃の飲みすぎに加え、空腹にわずかばかりのつまみと大量のホッピーを流し込んだため、胃の調子がやけにおかしい。かといって、このまま何も食べないとますますおかしくなりそうだ。結局、食べ物も充実している、よく行くバーへ。ガンボとビール中瓶一本を注文。腹を満たし一安心だが、ビールが全然入っていかない。胃がすっかり逃げ腰状態で、一本飲みきるのに1時間半かかった。最後のほうはモーローとしてきたので帰ることにした。いつも長っちりの僕が早く帰るのを見て驚くマスターに「胃をしっかり治してから、また飲みに来ます」と答える。しばらく酒を控えるか……。帰り道にふとそんなことを考えたものの、明日ももちろんどこかで飲んでいるに違いない。

4月23日(水) うどん屋にホッピーが……           文責:タケ
 ホッピーマラソン再開。月曜日に休みだった武蔵境の店を攻める。目当ての場所に来てみると、おお、そこはなんと、うどん屋だった。ここにホッピーがあるのか。それともナニかの間違いか。この結末は次号ホッピーマラソン完結編を待たれたし。今夜が良い一夜になったことだけは報告しておきましょう。ということで今夜は珍しく、少し早めで家路についたのだった。

4月22日(火) 直木賞だああ〜!                文責:タケ
 前夜のレモンハイ連続飲みが効いて半日へろへろ。夕方から打ち合わせがあって某編集さんとそのまま夜の新橋へ。今夜は冷酒。ぐびりぐびりとグラスの酒を乾していく我ら4人組、軽く1杯と言いながら気がつけば4時間近く飲む。しかも休憩なし、飲みつづけという感じになる。お相手の編集さんはふたりとも女性。こちらは、ふたりともお父っつぁん。なのに女性のほうが圧倒的に迫力がある。衰えない。負けそうになって、本当に負けた。結局は閉店までねばって店を出たところで解散、近くの馴染みのバーへ逃げ込むと、ここも閉店間際、客が次々に去って私ひとりボーゼンと飲むかっこうになった。マスターがいい人で、弱り気味なときには激励してくれる。ところが今夜は、マスターもちょっとばかり酒が回っていたようで激励にもいつも以上の力がこもっている。「なあお前」といきなり来たもんだ。ライターもたいへんなんだろうな。わかるぞ。俺にはわかる。俺もいずれナニか書いてみたいと思っているんだよ。だからなお前も頑張れ。俺も頑張るからお前も頑張れ。そうだ、目標は大きいほうがいい。そうだ、直木賞だ。直木賞を目指せー! 居たたまれなくなって店を出ると、マスター、店の外まで送りに出てくれて、失礼しますといって立ち去る私の背中に向かって「直木賞だー!」とまた叫んだ。なんだか嬉しい一夜になった。

4月21日(月) 明日も武蔵境!              文責:タケ
 連載陣のひとり、すわ親治さんと飲む。夕方5時、まだ明るいうちから門前仲町の居酒屋で、エシャレット、ツブ貝、マグロ赤身、湯豆腐、ホタルイカ(これ絶品)などをつまみに、生ビールから巨大徳利の日本酒へ突入。次号エッセイのためのネタ出しも快調に進む。いつも思うことだけど、すわさんや松崎さんはホントにネタの宝庫。普通に話しているのにコントみたいに聞こえるから不思議だ。次号がどんな内容になるかは乞うご期待。あっという間に2時間が過ぎて、すわさんとは地下鉄の駅で別れた。まだ7時半だというのにけっこう酔っ払っていた。東西線直通の三鷹行きに乗り、三鷹で中央線に乗り換え、隣の武蔵境へ。そう、ホッピーマラソンを走るのだ。南口からまっすぐに南下、目当ての店の近くで場所がわからないので電話をすると月曜は定休日とのこと。駅まで徒歩20分の道のりを戻り、駆けつけてくれた編集Wクンと合流。しかしホッピーを飲ませる店見つからず。しかたなく居酒屋を見つけて入ると、ここがなかなか温かい雰囲気の店でつい長居をする。レモンハイの連続お代わり。Wクンもまた連続でグイグイ行く。こちらのグラスがカラになるとWクンのグラスは半分に、こちらのグラスが半分になるとWクンのグラスがカラになっている。この繰り返し。なかなか席を立てない難しい状況となって気がつけば日付が変わっていた。ベロベロのへろへろ。そこで、ひと叫び。
「明日も来るぞ武蔵境!」



最新酒記 5/1-5/15