■2004年1月1日(木)〜1月16日(金)■

1月16日(金) 伊東1泊どこまで飲むか            文責:タケ
 伊豆半島は伊東へ出張。昼過ぎの踊り子号で移動するが、仕事があるので、車中では飲めず。というより、激しい二日酔いで飲む気にならず。現地では夕食を挟んで深夜近くまで仕事がつづいた。途中、二度ほど伺ったことのある寿司屋で飲み始め、その後にバーへ回って長居をし、さらには中華屋さんでラーメンを食いつつビールを飲み、古びた温泉旅館へ引き返してひと風呂浴びて布団の上にようやくあぐらをかいたその瞬間、同行のひとりがウイスキーのボトルを持って部屋に乱入してくるという、昨夜に劣らぬ激しい一夜となった。木造の、なんとも風情のある旅館なのだが、これでは、どこにいても変化はない。ま、いつも、そんなもんですが。

1月15日(木) 納品の喜びは深酒を招く            文責:タケ
 午前中から多摩方面へ向かう。まずは京王線で府中に入り、バスで国立、JRで立川と回って納品、納品。国立の増田書店では、3号10冊を完売して4号を15冊置いてもらえることになった。最初にお会いしていただいたときから興味をもってくださった担当者の方は、バックナンバーを揃えようとまで言ってくれたが、創刊号と2号は完売の旨伝えると、「そうか、そこまでは読めなかったな」とにこやかに残念がってもくれた。立川のオリオン書房ルミネ店では、系列のノルテ店にも置いてみたらどうかと勧めてもらった。なんとも嬉しい限り。ホッピーマラソンでお邪魔した弁慶という店を覗いてみると昼飯の営業もしていたのでカウンターで丼ものを掻き込む。安くてうまいのは夜だけじゃない。食後は渋谷まで移動して啓文堂へ。ここも3号の売上状況は順調で、担当者の方の、にこやかな応対を受けることができた。ああ、嬉しい。もう、1杯やりたい気分だ。しかし、地方書店さんへの発送作業なども残っているから、酒は飲まずに仕事場へと引き返し、モクモクと梱包、伝票書き作業などに追われた。狭い仕事場に積み上げられた第4号の、40冊の包みが、少しずつ、少しずつ減っていく。5冊、10冊、お店によっては2冊、3冊という注文もある。しかし、嬉しい。返ってこないでちょーだい、と念じつつ、宅急便の宛名票に住所を記入する。この仕事も、好きだ。入稿や校了の前に半泣きになっていた自分がウソのように、心がウキウキとする。Wクンいわく、「営業やっているときが、いちばん楽しそうですね」 その通りかもしれない。そんなこんなで22時となって、1本の電話が入った。吉祥寺WのTさん、この日は店がお休みで、常連のFさんとふたりで飲んでいるから出てこない? というお誘い。Fさんは、第4号の表2ページに燦然と輝く広告の、広告主様である。小誌執筆陣のひとり佐藤さんのお店のカウンターで合流、するとそこへ、編集者のSさんも偶然に合流して、なんとも賑やかな夜となった。納品、配本の興奮さめやらず、ズシーンと響く深酒とあいなった。

1月14日(水) シラフで我が酔態を垣間見る(泣)        文責:タケ
 配本ウィーク! である。ああ、興奮する。小生は、名目上編集発行人であるが、実は営業が大好きだ。ミニコミを出している人の中では異例かもしれないが、好きなもんはしょうがない。書店さんに行って、酒とつまみでーす、なんか言って、担当者さんが、あ、またバカが来たと思わず笑みをこぼしてくださるその瞬間が好きなのだ。きっと、ホントにバカなんだ。ということで盛りあがる小生は、自家用のワゴンで出勤。翌日は、多摩方面から埼玉まで、たんまりと第4号を積み込んで一気に納品するのだ、という目論見である。仕事場に着くと、静岡方面での仕事から帰京したY子ちゃんが、なんと小生の分まで弁当を用意してきてくれていた。漬けのマグロとシラスを酢飯に載せた絶品弁当。実は小生、仕事場へ入る直前に蕎麦を食ってしまっていたのだが、目の前に置かれたのはY子ちゃんお手製の弁当である。漬けマグロとシラスに、彼女の小生に対するほのかな思いが込められているはずの弁当であるから、もちろん勢いよく食べるのだ。するとそこへ、編集Wクンが出勤。Y子ちゃんはすかさず、Wクンにも弁当を差し出した。あ、おれだけのためじゃなかったのね。一瞬落胆したが、落胆するほうがどうかしている。ともかくがっちりと二度目の昼飯を食って第4号の注文処理に入る。各方面へ電話をかけて注文を取っていると、埼玉の書店さんで、店長さんが明日は不在ということがわかった。となると、明日は多摩方面のみの納品になる。ということは、なんとか電車とバスで持ち運びできる分量なので、車で来たことが無駄になってしまったということなのである。しかも車に乗って帰らなければならないから、今夜は飲めない。フホンイだ! ハナハダしくフホンイだ。折悪しく、こんな日に限って珍客も訪れる。ホッピーマラソンの第3回で店調べから取材同行までお世話になった謎の男にっしぃである。彼はメキシコ旅行の土産の酒を届けてくれたのだ。こうなると、飲みに付き合わないわけにはいかない。しかし運転もあるから飲めない。結局、にっしぃ、カメラのSさん、Wクンと小生の四人で飲み屋へ出掛け、小生は終始、ウーロン茶を飲むハメになった。つまらない。人が飲んでるのを眺めているのは、本当につまらない。Sさんも、にっしぃも、けっこう酔っ払ってきて、もう帰ろうよと思うそばから、追加を注文したりする。フホンイだ。結局11時頃まで、にっしぃとSさんブリブリに酔っ払っていく様をひたすら眺めることになった。出てくる話は、いつか聞いた話ばかり。ああ、つまんない。アクビをかみ殺す。この人たち、なんで同じ話ばっかしてんだよ、アホちゃうか。そんなことを思いつつようやく店を出たとき、Wクンは言った。「いつもSさんやタケさんに付き合っているボクの気持ちが少しはわかりましたか」 はい、わかりました! モーシワケナイ!

1月13日(火) 配本・発送・営業活動スタート!       文責:ナベ
 昨日の納品は第4号配本・発送・営業活動の始まりを意味する。今日の僕の活動は、地方・小出版流通センターへの納品からスタートした。そこは創刊号からお世話になっている、我々弱小雑誌にとっては非常に有り難い取次会社であり、場所は市ケ谷。I氏と2人で、第4号500部をダンボール数個に詰め、タクシーで向かった。タクシーの車中でこんな話をした。「考えてみたら創刊号の最初の部数って500部だったんですよね」「そうやなあ。あのときは500部も刷って大丈夫かと思ってたんやけどねえ」「行き先も決まってなくてね。それが今や、その部数をそのまま取次に入れるなんて信じられないっすよねえ」「ほんまビックリやわ。ありがたいわ〜」「でも、まだあと4000部以上残ってるんですよねえ……」「そうやね……」「でも、まあ、いっか」「そうそう、ええんちゃう」 と、結局いつも通り、最後は「ま、いっか」といった具合で話は終わり、地方・小出版流通センターへ納品。その後、I氏と別れ、その近辺の取扱書店サンへ納品し、編集部へ帰った。で、事前に直販予約をしていただいた読者の皆さんへの発送作業をした後、午後6時すぎ、O氏とS氏とともに銀座へ。書店やバーに納品し、最後はバーRへ納品かたがた飲みに行く。3人で、ここの安いけど味は抜群のハイボールを注文し、昨日に引き続き乾杯。「いやあ、よく出たもんだ」と昨日と同じようなことを話しつつ、みながみな、気分よく飲んでいるうちにハイボール3杯飲み干す。心地よい気分で店を出た後、終電に乗り、家に帰った。

1月12日(祝) 思えば、4号まで来たもんだ          文責:ナベ
 成人の日。祝日である。ただ、今日に限っては、我が編集部にとって祝日とか休みとかそんなのは関係なく、それこそ出社しないでどうする、という日だった。お楽しみの第4号納品日なのだ。午後1時に編集部のあるビルの下に配送のトラックが到着予定なので、30分くらい前には編集部に顔を出した。そこにはすでにS氏がいて、続けてI氏もやってきた。毎号のことだが納品日はワクワクするもので、「どんな出来栄えかなあ」「早く見たいなあ」「配送の人も気を利かせて早めに来たっていいのになあ」などと3人でニヤケ気味で話していた。が、午後1時が近づくにつれ、我々の会話と表情は徐々に変わっていった。「あれ? 携帯つながらない」「もうじき車が着くっていうのに」「さてはまたバックレたか?」 そうなのである、またもやO氏が来てなかったのである。「またもや」というのは、実は第3号納品日のとき、O氏は15分遅れてきた挙げ句、50部の包みを2つ運んだだけでグロッキー。そのままひと包みも運ばなかったのである。本人は「2つの包みを運んだらちょうど電話が来ちゃったんだよ〜」と弁明していたものの、それにしては電話が長すぎる。我々3人は「わざと長電話をしたに違いない」という疑惑の目を向け、先週の金曜日にも「今回は頼みますよ」と念押ししていたのだ。それなのに……。なぜそこまで我々がツッコミを入れるのかというと、我が編集部はビルの4階にあるのだが階段しかない。おまけに今号はほとんど錯乱状態気味に5000部も刷ってしまった。5000部っていったら50部の包みで100個もあるわけで、それを配送業者2人と編集部の面々で運ぶにしても階段を何往復もしなければいけない。そこで一人でも欠けたら一人の負担がより大きくなる。「ああ〜」「もう〜」「うう〜」と、諦めのあまり、3人がもはやちゃんとした言葉が発せなくなった午後1時。配送のトラックが到着する寸前にO氏はやって来た。みな「ギリギリかよ〜」と思いつつ、ほっと一安心である。その後、階段の途中に中継地点を作り、ビル下からそこまで運ぶ者、そこから編集部まで運ぶ者に分かれて運ぶこと30分。ゼーゼーゴホゴホという咳が止まらぬO氏のヘバリ具合は誰にも増して顕著だったものの、何とかすべてを運び終わった。そして開封。毎号恒例の缶ビールでの乾杯をして、各自思い思いにページをめくることとなった。思えば創刊号が出てから1年と3カ月。「明日の仕事よりも今日の酒」を地で行くスケジュール意味なし集団が、曲がりなりにもその間に4号も出せたのは感慨ひとしお。ビールの味は格別だった。その後、全員でハガキ入れや、地方・小出版流通センター用のスリップ入れなどしているうちに夜となり、今日の作業が終了。そして、本業から戻ってきたY子嬢も加わり、出版祝いとして、近所のちゃんこ屋で改めて乾杯した。

1月11日(日) 塩辛であぁぁ〜                 文責:サイ
 昨晩は鳥鍋だった。さっぱりしててうまかったが、くさや食べたかったナ〜、探したが無かったらしい、残念だ。よし、今日は俺が探して来る。と勇んで行った近所のいとーよーかどー、なんとつぶれてて無くなっていた。しょうがないので近所のスーパーでかじきの切り身5枚といかの塩辛を購入、かじきで恵比寿ビールを3本、残ってた泡盛(娘の沖縄土産)で塩辛、最後も塩辛茶ズケで締めた。トウフヨウとくさやに想いが残る週末であった。

1月10日(土) ベランダでうぅぅ〜               文責:サイ
 年のせいだろう、めっきり酒の抜けが悪い、ボ〜っとした重い頭で体が異常に重い。ベランダへ出てへなへなと座り込んだ。昨晩のトウフヨウを思い出した。くさくてうまかったナ〜、かみさんに御願いしよう、今晩はくさやにしてもらえないだろうか?と。考えてたら胃液が上がって来た。うぅぅ〜。

1月9日(金) ニライカナイでカナリニオウ           文責:サイ
 編集部そばに沖縄料理屋が出来た。W君が見つけて来たのだが、最寄り駅の目の前にあったのに気付かないでいた。店名はニライカナイ。東の海のかなたにある神々の邦のことだと言う。そこから訪れる神々が豊穣と幸を人々にもたらす、と古くから沖縄の人々の間につたわる話だそうだ。ところで自慢じゃないが我々酒つま隊は金がない。今日は軽くにしとこ〜な、と言いながら、神々の邦に足を踏み入れた。店内の壁一面には泡盛の瓶が銘柄ごとにズラ〜ッと並べてある。おぉ〜〜、どれからいくか?W君!と迷っていると店のチュラカ〜ギおね〜さんがいろいろ説明してくれている。ゴーヤ、にはこれ、海ぶどうならこれ、ラフテーにはこの泡盛、そしてトウフヨウにはぜったいこれが合いますネ!このトウフヨウがまた激うまなのである!においがまた凄くいい!凄く臭い!自慢じゃないが小生臭いの大好きなのである!当然泡盛もすすむ。途中沖縄民謡のライブも入り、ほんとリラックスできてもうベロベロになってしまった。今日はこれ位で勘弁しといてやるか!W君!っとおぼつかない足どりでお勘定を御願いした。あらら〜、1人\5,000−なり!うぅ〜〜〜、飲み過ぎだ〜〜!神々は幸だけくれたが豊穣を持って来るの忘れたみたいだ、ネ〜、W君!いや〜、すべてうまかったです、ハイ。

1月8日(木) 雪に降られた後は鍋で新年会           文責:タケ
 8時30分の新幹線で東北へ日帰り出張。福島県の取材現場は風も強く雪が降りしきり、移動の間は屋外を行き来するので、その寒さ、久しぶりに骨身に沁みた。帰りの新幹線で缶ビールを少々。夕刻帰京して仕事場へ戻り、Sさん、Y子ちゃんと3人で近くの居酒屋へ。東京も冷え込みが厳しかったので、つまみは寄せ鍋にする。我らが仕事場は5人全員が揃って忘年会や新年会を行うことが極めて少ない。2、3人ずつでなんとなくやるのが通例である。だから今回も、それぞれが本年2回目くらいの新年会になる。鍋を囲み、汗ばみながらビール、焼酎のロックなど飲んで、1時間半もしたころ、すっかり満腹という状態になった。仕事場におけるSさんは、Y子ちゃんが来ている日とそうでない日で態度がまるで異なる。にこやかに喋り楽しそうにしていても、Y子ちゃんが先に帰ってしまうと、その後は別人。落胆しきりといった声音で、「おい、はやく飲みにいこうぜ」と誘う。小生やWクンが仕事をしていようが構うもんではない。いっそ、潔いとさえ、最近では思うようになった。そんなSさんだから、Y子ちゃんと1分でも長く過ごしたいのだが、うら若き娘さんに、鍋を付き合ってもらうだけでも我らお父っつあん2名は僥倖と思わねばならない。ということで散会。あっけなく散会。ところで、小生とY子ちゃんはひとまず方向が一緒で、Sさんは逆方向。JR浅草橋駅にはホームが2つあるから、電車に乗るその瞬間までお喋りしたいSさんだけれど、反対側のホームに行かなくてはならない。「じゃあ、Y子ちゃん、また、明日ね!」と元気のいい小学生のように再会を約束したSさんは我らとは別の階段を上っていった。先にホーム上に出た我ら2人は、Sさんが反対側のホームに姿を現すのを待った。手を振って、明日の再会を確認するためである。しかしSさんはなかなか上がってこない。トイレへでも寄ったのか、ぜんぜん上がってこない。そして、ようやく姿を見せたSさんは、進行方向前方を目指してトボトボと歩いていくではないか。こちらには、一瞥もくれない。別れは済んだ。オレはもう、帰っちゃうんだかんね、とでも思っているのか、やや前のめりになって、ひたすら歩いていく。その両肩が、がっくりと落ちている。小生はSさんの後ろ姿にむけて、ひと言呟く。Sさん、Y子ちゃんは明日お休みだよ……。

1月7日(水) さいカメスペシャル誕生秘話         文責:サイトウ
 心優しく怒ってくれるIちゃんのいる中華屋に行く。いつも行くたびに怒られる、それは、いい調子で飲んで行くからだ、また飲んで来たの?さいさん!なんで飲んで来るの、もうしょうがないわネ〜。早く帰った方がいいわヨ!と怒られる、怒られると嬉しい。だが今日は年の初めなので怒られないようにと思い、しらふで行った。さいさん、飲んでないの?今日は!と言いながらびっくりしてる。あら、大変!と言ってレモンハイを持って来てくれた。これがまた、俺には薄〜いレモンハイだったので、一気に飲み干してやった。Iちゃん、もっと濃いのにして!ガツンと来るヤツ!もうしょうがないわね〜、とIちゃんは厨房へと消えたのである。そしてやってきたレモンハイ。一口飲んだらもう〜大変!異常に濃い。Iちゃんに聞いたら6分目位まで焼酎を入れ炭酸でグラスをいっぱいにして、最後レモン汁を申し訳程度に絞る。らしい。すごく濃い。2杯飲んだらほぼ出来上がってしまう。それでも俺は注文する。Iちゃんの店は10時半がラストオーダーであるが、俺はさっきのスペシャル2杯!とか言って注文する。でもIちゃんはダ〜メ!とか言って、カワイイ顔で怒る、これがまたうれしい、飲み過ぎはダメヨ!と言って帰される。でも好きな酒は店でいっぱい飲んでね、という気持ちがうれしい。そんな感じで「さいカメスペシャル」は生まれたのであった。

1月6日(火) ガード下は落ち着くなあ!            文責:タケ
 午後から自由が丘、三軒茶屋と、取材で回り、『酒つま隊がゆく』企画の取材を完了する。カメラのSさんと地下鉄車内で別れ、編集者のKさんが待つ銀座へ。19時ちょうど、目的の店の前でSさんと出会い、連れ立って店内へ。小誌連載陣のひとり佐藤さんの店は、オーセンティックなバーで、行き始めた頃はかなり緊張したが、最近ではにこやかに迎えてくださるせいもあって、実に居心地がいい。Kさんも、それを気に入ってくれたようで、昨今では小生より足しげく通っているらしい。互いに3杯ほど飲んだところで、まだ何も食ってなかったねということになり、さて何を食おうかとブラブラ歩くうち有楽町ガード下へと導かれていく。もつ焼きの煙と喧騒。大きなジョッキの酎ハイ。これもまた実に気持ちを和ませてくれる環境だ。酔いが回るにつれ声がでかくなり、最後には真冬のガード下であるというのに、コートの下の我が肉体はうっすらと汗ばんでいく。お代わり、お代わり、さらにお代わり。飲めば食べ物をほとんど口にしない小生のこと、もつ焼きやその他のつまみ類のほとんどをSさんに任せて、酎ハイをぐびぐびと流し込んでいく。Kさんは自分の仕事とはほぼ接点のない(ある人は極めて稀だ)我らが『酒とつまみ』に絶大なる興味を示してくれている人。4号の発売はいつか。何部刷ったのか。販売してくれる書店の開拓は順調か。ときに、返品の発送料は書店と編集部のどちらが持つのか。さまざまなことを聞いては「おもしろいねえ」「この先が楽しみですねえ」と言ってくれる。だから小生は飲む。嬉しくて飲む。お代わり、お代わり、さらにお代わりという気分になっていく。ダメでもともと、やれるだけやったるで。よくわからない勇猛な気持ちが煙と一緒にモクモクと込み上げてきて、知らぬ間に時間が流れていく。ガード下はやっぱ、落ち着くなあ。

1月5日(月) 条件反射の腹痛に笑う               文責:タケ
 本格的な始動。仕事場へ出てみなみなさまにご挨拶。今年もたくさん飲みましょう! なんとも気楽な仕事場である。夕方からは取材で三軒茶屋、自由が丘を回り、深夜、吉祥寺へ帰還。WのTさんに新年のご挨拶と思って道をたどれば、年末と同じ腹痛に襲われ、冷や汗をかく。通る道のどこかに、小生をやるせなくさせる何物かが潜んでいるのか。Wに入り、ほどなくトイレへ行ってから席へ戻ると、Tさんに笑われた。そりゃ笑うよな。いつもいつもだもんな。

1月4日(日) 仕事始めると具合がよくない           文責:タケ
 7時起床。湯を沸かし、茶を淹れて、パソコンの前に座る。仕事始めだ。頭がくらくらする。年末にやっておかなくてはいけなかった仕事を今からやるのだ、フラフラしても仕方がない。ともかくコツコツやって夕方には早々と入浴しビールを飲むのは、まだ正月気分でいたいという気持ちの表れか。早めの夕食も終わるともうすることがない。仕事しろと言われればそれまでだが、それはそれ、まだ正月気分でいたいのだ。本を片手に早々と寝床へ潜り込み、こんなときくらいゆっくりした気分で読書なのだと思っていたら、あっという間に眠り込む。そして深夜、パッチリ目覚める。アタマだけ、仕事モードに入ったのだろう。こうなると飲まないと眠れないのだが、今夜はなぜか、息も苦しい。ぜーぜーする嫌な感じ。年末に買ってきたハムスターのせいか? いや、たぶん、仕事が嫌なだけなんだろう。そう思ったらなおのこと情けなく、やっぱり飲んじまおうということで深夜、ひとり酒。

1月3日(土) 厄除け、縄跳び、やっぱりバカ飲み       文責:タケ
 本年は酒と真正面から付き合うまい。斜に構えて深酒の誘惑をかわしつつ極度の二日酔いはこれを絶対にしない、と誓いを立てた元旦。なんのことはない、午後早くから機嫌よく飲み始め、ビールから日本酒へ移行して結局のところは5合ばかり飲んでヘベレケ。翌2日は見事に二日酔いして雑煮を腹に納めるや再び就寝。午後になって起き出して初詣。神仏一切信じることなく、父親が死んだときも宗派を知らずに葬儀屋をあきれさせた小生ではあるが、なんとこの日、厄除けの護摩札を買う。3000円ナリ。厄年である。本厄である。昨年が前厄ということで、へッ、厄なんてものを気にしていて大酒が飲めるかいなどと威勢が良かったが、いよいよ本厄と聞いてちょっと怖くなった。だから3000円。広い境内にたくさんの露店が出ていて子供たちなんぞそれなりに喜ぶのだが、へッ、坊主丸儲けじゃねえのとアタマにきつつ、やはり誘惑には勝てないのだよ、缶ビールに煮込み!と威勢良く注文して折りたたみ式の椅子に座るや、にいさん、やっぱ日本酒も追加しておくれ、そうだ、熱いヤツで頼む、てなことを言う。昼間の酒が二日酔いを消滅せしめ、帰宅後はおせち料理をつまみに酒を飲む。特製のタレに漬けておいてもらったタイの刺身を白飯に乗せた上から茶をかけた通称「鯛茶」で腹を満たしてまた飲んで、夜半に小腹が減ったといってはかけ蕎麦を啜り込む。なんだかヤケに調子がいいじぇねえかと本人も訝りつつ本年3日目の朝を迎えれば、雑煮の後に飯を2杯たいらげた。さすがに腹が苦しく午後から散歩と決め、ついでに縄跳びもする。二重飛びである。小学生の子供と二重飛びで勝負するのである。勝てばお年玉を倍額にしてやろうぞ、などと言ったそばから敵はひらりひらりと飛び続け、小生は17回まで頑張ったところでなぜか背中に痛みを感じ、さては心臓か、と怖気づく間もなく縄は足にかかり、ケツのポケットから財布を取り出す始末とあいなった。縄跳び惨敗の後は散歩だ。川っぷちの道をぶらぶらと歩く。いつのまにか日暮れも近くなって、帰り道、西の空に巨大な夕日を見る。歩いているうちにみるみる沈んでゆく夕日がなんともきれいで、なぜか、早く帰ってビール飲もう、と思った。晩飯は豚肉をたっぷり入れた寄せ鍋。また飲んで、とっとと就寝。護摩札の効果に期待するのみ。

1月2日(金) スマン、甥っ子よ                 文責:ナベ
 早くも仕事初め。とはいえ、午前中は昨日と同じように、熱燗飲んで雑煮を食わんことには正月って感じがしないので、午後からの仕事に影響が出るのがわかっているのにまたもほろ酔い機嫌。で、正午すぎ、自分の部屋に籠り、ある単行本1冊分のゲラを読み出す。幸い今日は甥と姪が「たくさんお年玉もらってくるんだ!」と気合いを入れて親戚の家へ乗り込んだので、仕事の邪魔も入らず集中。が、自業自得というか何というか、やはり酒の影響は出るわけでして、気がつけばうつらうつらしていて、気を失うこと多々。おまけに、石油ストーブが室内に作り出す暖かくも濁った空気が頭を鷲掴みにして振り回すので、もう意識はモーロー。一回読んだところを何度も読み直すハメになり、一向に先に進まない。年が明けてもまるで進歩なし。それでも、コーヒーをガブ飲みし、ガムを噛んだりして睡魔と戦い、午後11時頃には今日予定していた分を何とか終えることができた。そろそろ風呂にでも入ろうかと思っていたとき、僕の部屋の戸が突然開いた。親戚の家から帰ってきた甥っ子だった。ははあ、仕事の邪魔をしに来たな。なんて勝手に思っていると、甥は何も言わず僕に大きな袋を手渡した。そのユニクロの袋の中には冬用のリバーシブルのジャケットが入っていた。この2日間でもらったお年玉で買ってきてくれたのだという。しかし、いくらユニクロとはいえ、そのジャケットは僕があげたお年玉よりも高い。それを言うと、「いいよ、たくさんもらったから」との返事。そのうえ、今年もらったお年玉の中で、僕からの分が一番安かったらしい。「すまんなあ、金がなくて」と声をかけると、「いいよ、来年減らなければ。だって、今年の金額を期待してて来年減ってたほうがショックだもん」。 そう答えると、僕より二回りも下の甥は部屋を出て行った。嬉しいやら情けないやら……。余計な気をつかわせてスマン、甥っ子よ。一人になった部屋の中で、僕は風呂のことも忘れ、しばらくジャケットを見つめていた。

1月1日(木) とにかくいつもの寝正月             文責:ナベ
 前夜に実家へ帰り年越し。鐘を打つ音が遠くから聞こえる中、隣にあるお寺へ一人で初詣。って言っても、あくまでも遠くから鐘の音が聞こえるんであって、ここには誰一人いなかった。真暗闇でうら寂しい。でもまあ、行列や人混みが嫌いな僕にとってはちょうどよく、気楽にお参りができた。で、久々に実家の自分の部屋で寝て、午前8時頃起床。居間のコタツに家族で入り、熱燗をすすり、おせち料理をつつきつつ、里芋と大根が入った雑煮を食べる。時折お猪口の日本酒を雑煮の中に垂らしたりなんかして、雑煮をおかわり。結局食べた餅の数は3個。その後、「ちゃんと“ありがとう”と言うまで渡さんぞ」などとおどしながら甥と姪にお年玉をあげ、ほろ酔いのままコタツで横になる。そこからはコタツという殻を背にした“カタツムリ状態”に。甥と姪から襲撃を何度も受けたものの、昼食と夕食の時間に起き上がった以外はずっと横になって寝ていた。完全なる正月太りコースだけれど、ここ最近激痩せが続いている僕にとっては(酒しか飲んでないのが原因ですね)、ちょうどいいかもしれない。今日はとにかくいつもの寝正月。いつもと違うのは、それが今日だけということだろう。


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