■2004年7月1日(木)〜7月16日(金)■

7月16日(金) 休めるときに休まないから           文責:タケ
 早く帰って少しだけ飲んでゆっくり眠れば、日ごろの飲みすぎによる疲れも解消できる。それはよく理解しているのだけれど、休めるときに休むことができない。たとえば昨日のように、行かんで良い酒場のハシゴなどをしてしまう。そのダメージは、あらかじめ飲む約束のあった日にしっぺ返しとしてやってくる。今夜がそうだ。小誌第4号の酔客万来インタビューで、みうらじゅんさんと一緒に参加していただいた編集者さんと飲む約束があったのだ。しかしこちらは無理のたたった状態で、飲み始めてしばらくすればなんとかと思うのだけれど、今度は逆に、急速に酔ってしまうという体たらく。お誘いした店が立ち飲みだもんだから、2時間を過ぎるあたりから、肉体的な疲れもでてきた。何をこれしき、と思うのだが、思うように飲めない。酒も会話も、編集Wクンにまかせっきりで、小生はひたすら酔っ払い、ふらふらと、立ったまま、舟をこいでいるのだった。

7月15日(木) 私はそれを我慢できない        文責:タケ
 我慢できないといっても生理的現象のことではない。酒に関することだ。酒に関して何が我慢できないか。隣で飲んでいる人の大声か。一緒に出かけた人の酔態か。いやいや、そういうものは我慢できます。って、私が我慢をさせているほうなのだろうから、我慢できるなんて偉そうなことを言う資格はない。我慢できないのは、最後の一軒の誘惑である。もう、そこそこ飲んでいる。いやいや、ハタから見るならばアンタいい加減帰ったほうがいいんじゃないの、と言われるくらいの酔い加減だ。飲みに行ったところで、もう酒も入りそうもないなというときの、最後の一軒を、私は我慢できない。本日も朝からみっちり働いて、自分なりにはよくやったといえる1日を送り、宵の口から編集者さんと打ち合わせで少し飲み、それから仕事場に戻ってちょっとばかり雑用をし、それから小誌連載陣のひとりである佐藤謙一さんのお店へ打ち合わせをかねて顔を出し、そこで、もういいだろうという程度まで酔った。電車もまだ十分にある。さあ帰ろうと思いながら、帰りの方向とは逆向きに歩いている。もっと強い酒を飲ませる店へと向かっている。実はまだ、少しは迷っている。帰れば、金銭的にも楽だし、何より、明日が楽だぞ。今ならまだ、爽快に目覚めることができるぞ。そんなことが、頭をかすめているような気もする。しかし、止まることができない。その店のドアを開ける誘惑を断つことができない。店が近づいてくる。すると心も決まってくる。店へ入ったら、何を話そうか、そんなことが頭をよぎっているような気もする。黙って飲みゃいいのよ。そんなことを考えている気もする。

7月14日(水) トウモロコシと枝豆があれば          文責:タケ
 決算に追われまくりつつも連夜の深酒をやめないと、どうなるか。何日かに1回、どうにもならん、という日がやってくる。だからといって、何もしないというわけではない。できるならここまでやっておこうと思っていたうちの、いくつかの用事を先へ延ばすのである。あるいは、やらないでいいことをやらない。ということで本日は自宅作業。やらなければいけないことは実は山ほどあって、いずれも先延ばしできない場合の最後の手段が自宅作業だ。人に会わず、仕事場にかかってくる電話も取る必要がない。とはいってもメールや携帯に用事は飛び込んでくるから、自宅に引きこもってもいいことはむしろ少ない。ただ、仕事場までの往復を端折ることができる。これだけでも大きい。単に時間だけのことではなくて、途中での誘惑と闘う必要がないという点において、大きいのである。外へ出ると、どうしても、なんでなのか、飲むことが多いので。そこで、自宅作業。冷たい茶をがぶ飲みしながら、山となったやるべきことを消化しにかかる。どうにもならんと思っていた頭は、手を動かし、何度か排便しているうちに、それと気づかないほどゆっくりではあるけれど着実に回復してくる。こういうときは、一気に行くに限る。途中で休むと、後が続かない。やっぱりバテているからだ。だから、昼飯も食わず冷たい茶をがぶ飲みしながら、一心不乱にギリギリの仕事をまず片付ける。そして、夕方。もう、へとへとになって、ようやく一服。タバコを吸い、何を食うかと考える。たいしたものを食いたいとは思わない。ビールさえうまければ、という程度のものだ。そこで、フラフラと買い物に出かけて、見つけてきたのが枝豆とトウモロコシ。それから、焼き鳥を10本ほど。これで十分。モロコシを茹で、枝豆を茹で、タレ焼きの焼き鳥には七味トウガラシをたっぷり振って、よく冷えたビールを飲む。あ、そうだ、冷蔵庫に豆腐があった。これでもう完璧。ビールの2、3本も飲んだら、寝るに限る。眠い、眠い。自宅の酒は、とにかく眠いのだ。

7月13日(火) ハイ、儲かりません          文責:ナベ
 今日も何かしらやっているうちに夕方。何かしらって言っても大したことはやってないんだけど、1人で新宿に向かう。待ち合わせをした友人とその知り合いの女の子とともに、飲み会に出席した。会場の座敷に足を踏み入れると、だだっ広いスペースに70人くらいの人がいて圧倒される。ほとんど知らない人ばかり。人によってはあちこちに移動し、名刺交換をしたり情報交換したりしていたが、僕の場合は、一度腰を落ち着けるとほとんど動くことはないので、友人たちと話したり、近くに座った人たちと話すだけにとどまった。それでも、初対面の何人かとは話すワケで、「ライターとか編集の仕事をしてます」とか言うと、決まって「何を作ってるんですか?」という話になる。で、「『酒とつまみ』という雑誌を」とか言う。でも、誰一人として知らない。う〜ん、そりゃそうだ。おまけに、通信販売か何かの会社を経営している中年女性の社長から「それって、儲からないでしょ?」とか聞かれたりなんかしたら、そりゃもう、「ハイ、儲かりません」としか言えない。で、午後10時半すぎには退散し、午後11時半頃、吉祥寺着。いつもの飲み屋に顔を出し、常連とともにアホ話。やっぱこっちのほうが気楽だな、ホント。

7月12日(月) 立つ鳥あとを濁さない時もある         文責:ナベ
 第5号の発送や配本作業もようやく落ち着いてきた。なので、これからしばらくは本業に専念しなければならない。「酒とつまみ」の作業にハマればハマるほど無収入の日々が続くワケで、となると、「酒とつまみ」を続けていくためには、やはり本業をいかに効率的に進めていくかが問われるワケである。とはいえ、効率なんて言葉はすでにアルコールに駆逐されてるモーロー頭には、しょせんそんなことは無理なんだけど。で、本日は原稿書きをモロモロやった後、全然本業じゃないけど、ヤフオクの落札者に商品の発送なんかしているうちに夜。O氏とI氏はすでに帰り、S氏はまだハワイ。編集部に残っていたのは僕とY子嬢。で、飯でも食うかということになり、近くの中華食堂へ。店に入ると、ウェイトレスのIちゃんに「あれ、2人だけなんですか? Sさんは?」と驚かれる。確かに、我々がこの店に来るとき、S氏がいないことはまずない。S氏と僕の2人がいて、そこにO氏やY子嬢、たまにゲストが加わる感じだから、意外に感じたのかもしれない。まあ、それはともかく、Y子嬢と2人でテーブル席に座り、相変わらずバカ話やら何やら話す。途中オーダーを取りに来たIちゃんに、「Sさんがいないとどう?」と聞くと、「なんか新鮮でいいですね」とのこと。さらに、Y子嬢の帰宅時間の関係もあり、閉店時間よりも早く帰ろうとすると、「あ、早いですね。また2人で来てくださいね」。たはは、S氏が聞いたら傷つくだろうなあ。でもまあ、S氏と僕はいつも閉店時間過ぎてもズルズル飲んでるし、立つ鳥あとを濁しまくってるからなあ。いつもご迷惑をおかけしてスンマセン。と言いつつ、この癖は治らないんだろうけど……。

7月11日(日) ハワイ島でベランダ酒、パート2        文責:サイ
 海外出張の時は土、日なんか無い訳でして、本日もお仕事でした。昨晩の大量摂酒で冷蔵庫の在庫ビール本数がちと不安だったのですが、相方編集も同じだった様で、「残、何本ぐらいでしたっけ?」って聞いてきたので、ちょっととぼけて俺は「んん〜ん、まだ、60本位は残ってるゼ!…、フィルムだけどネ…」っかなんか言ってはぐらかす訳ですが、とにかくビール補充しときましょ!ってんで、ショッピングセンターに寄る訳です。ここのコンドミニアムがある町っていうのが、ワイコロアっていうなにやら高級リゾート地らしいのですが、なあんせ手頃な飲み屋がないんです。やたら気取ったレストランとかばっかり。BARといったら、高級ホテルのバカ高いBARになっちゃう。そこで我々2人はショッピングセンターで食材を買い込み、使い慣れないシステムキッチンとやらで、クッキング!と相成る訳です。本日はちょいと早目の終了だったので、パスタでも湯がいて、気合い入れ目のディナーにするか?と相方編集とカートを押しながら、パスタはどれにする?っかなんかやってると横にいたバカデカイ白人御夫人が、その青い眼を白くさせて俺らをジロジロ!…。ハロ〜〜!と手をあげウインクしてやったゼ!そしたらその白人オバはん半端な笑いを残してそそくさと離れて行ってしまったのでした。気を取り直してパスタ、トマトピューレ、タマネギ、マッシュルーム、ニンニク、オリーブオイル、デカイソーセージ2本、あ〜〜んど!ビール12本!買ってしまいました…ハイ。あっ、醤油も売ってるじゃん!と言いつつ、やっぱ醤油だよな〜、そ〜っすよネ〜、なっつたって醤油でしょう〜。ってんで醤油もプラスしときました…。そして、出来上がりました!メインディッシュ!見た目は決して悪くない!おおっ〜〜!いいじゃ〜な〜〜い〜。ハワイ島地ビールで、乾〜杯〜!…もちろんバカデカ丸テーブルのベランダです!まぁ〜相変わらず星はまたたいてる訳で、いちいち気にしちゃ〜いられない!パスタを2口3口…相方と眼が合い、なんかたんないね〜?醤油かけるか?醤油!…本日のメインディッシュ!名付けて、パスタ・ワイコロア!和風!って感じでした。やっぱ自宅のせまいベランダでかまぼこつまんで恵比寿だな〜〜!と思ったのでした。

7月10日(土) ハワイ島でベランダ酒              文責:サイ
 取材で只今ハワイ島です。宿舎になってるのはバカでかいコンドミニアム!2ベットルームです。リビングなんかも20畳位ある。当然ベランダもバカでかい!どれくらいデカイかと言いますと、5人用のテント張ってその横でバーベキュウやって、又その横で卓球出来るぐらいデカイ(ちとオーバーか?)。いつもやってる自宅のベランダのまぁ〜ゆうに4倍はあるって感じですナ〜、SO〜デカイ!…。日中は撮影で外に出てる訳で当然酒は夜になる。これまたデカイ台ドコで夕飯作るんですが、洋服ダンスみたいな冷蔵庫の中にはなには無くともビールだけは常備してある訳でして、しかもハワイ島地ビール!これ結構濃厚でうまい!大量に買い込んで、キンキンに冷やしとく。夕飯作るったってスパムを切って野菜と炒める程度!もう〜これで充分!って感じです。ベランダへ出て、これまたデカイ丸テーブルで編集の相方と2人、残念ながら当然男なんですが、夜空見ながら始まりますよベランダ酒!…。御存じの方もいると思いますが、ハワイ島の夜空って、もの凄〜〜〜〜く星がキレイなんです、ほんと。このシチュエーションで野郎2人かよ!なんか無性に腹が立ってきた!ってくらい、星がまたたいてる。そうなると、もうひたすら飲むしかない訳でして、宵越しのビールは持たね〜ゾ!って感じで飲みまくる!黙々と何も喋らず飲みまくる!そして、満天の星の夜空にひびき渡るのは、黙々と抜かれるビールの栓の音だけなのでした……、ポ〜〜〜ン、ポ〜〜ン、ポ〜ン、ポン………。

7月9日(金) 決算小休止で千葉まで営業            文責:タケ
 5時までやっても、終わらないものは終わらない。書類を届ける約束をしてあった会計事務所に来週アタマまで待ってと泣きついて、午後一からインタビュー仕事。それを終えると今度は千葉まで営業。これは本来カメラSさんの担当だが、なんか知らねえけど海外取材かなんか行ってるそうで、ずいぶん洒落たことしてくれるじゃないの、こちとらガンマ530だよってブツブツ言いながら行ったよ千葉へ。それから今度は逆戻りして池袋の旭屋書店さんへ納品。これは新規開拓。渋谷店の担当の方から紹介を受けたのだ。うん、嬉しいぞ。一気に30冊も置いてもらえることになったのだ。でも、なんだかね、あんまり寝てないし、千葉まで遠征もしたし、ちょっとばかりくたびれた。それで編集Wクンに電話して、まっすぐ帰宅するよと告げた。池袋から新宿で乗り換えて黄色い総武線各駅停車でぼーっとしながら帰って来る。そこでふと思う。ああ、また、決算かよ……。帰りたくない。そこでまた、突然別のことを思い出す。ばあちゃん、誕生日だったなあ。今日は会いに行けないが、せめて祝いの杯を傾けることにしようか。なんてなことを考える。すると頃合よく電車は吉祥寺につくよ。そしてまた、『WOODY』でちびりちびりと飲む。やんなきゃいけないことが、たくさんあるな、と思う。少しばかり飲んで、よし、全部やってみせるぞ、と思うのは悪いことじゃない、と思う。ちびりちびり飲みながら、眠気も手伝って、けっこうな気分になってくる。やれるだけ、とにかくやろうじゃないかと……。そして会計。ここで、目が覚めた。やることがいろいろあるどころではなくて、目下、喫緊の、最大の、背水の陣をもって挑むべき火急の課題は、金がないことをなんとかするってことだったんだあ!

7月8日(木) ガンマ500が追い討ちをかけるね        文責:タケ
 引きこもり2日目。先日採決した結果が出るというので、近くのクリニックへ出掛ける。アレルギー検査と、ついでながらの肝機能検査の結果だ。1週間ほど前に我が湿疹ポテ腹を横目で見つつ、アレルギーだねって仰ったお医者さん、開口一番「アレルギー反応出ないですね」だと。じゃあ原因はなんなの? って聞こうとしたら、それを制して、「なんでもいいけど、この肝機能のほうはどうしたことか」ときた。聞けば、γ-GTPが530だとか。これ、けっこう高いんだそうで、医師、小首をかしげて、「おかしいですね。ほかの数値はいいのに、なんでかな」だと。あのね、この前言ったでしょ。えれえ飲むんだって。だから、アレルギー検査とは別にもういっちょ採決したんでないの……。すると医師、そうでした、そうでした、アルコール、控えてください、だと。薬は必要なのか、治療は必要なのか、と聞こうとするのを制して、「はい、じゃまた」だと。ってことはなんでもねえってことなのか。オレにはもうわかんねえって家に帰った。それを家内に告げると、さすがにスルドイよ。正常値はいくつなの、ときたもんだ。そんなこたあ知らねえとシラを切ろうとするのを制して「はよ、言わんかい」だと。はい、50だそうでございます。来たね、スルドイ横目が。なんで、みんな横目でオレを見るのか、そんな目つきしているとシワが増えるよなどとまぜっかえそうとするのを制して「今日はビールもなし!」だと。ああ、ただでさえクソ暑いなか、帳簿作業しなきゃなんねえのに、ビールなし、だと? 参ったねえ。でも、ガンマ530はけっこう威力があって、ふだんなら、そうはいいつつも1杯くらいってなるいい加減さが今夜に限って通用しそうもない。だから、打ちひしがれて帳簿。これがまた終わらねえ。それでも、シクシク泣きながら続けていると家内は寝たから、そうなればこっちのもん。冷蔵庫のビールを取り出してプシュ。暑いもんだから、立て続けにプシュ。そんなこんなで、朝5時まで。ガンマがなんだ!

7月7日(水) 自宅引きこもり決算仕事             文責:タケ
 決算だよ。小さいながら会社なので、決算がある。個人事業主として確定申告もしたことがあるけれど、法人のって、割に面倒くさい。だから毎年、この時期は徹夜仕事になる。仕事場へ出てしまうと、電話がかかってきて集中できない。いや、電話があると、誘い合わせて飲みにいってしまうから、あえて、自宅引きこもりを断行する。おもしろくもなんともねえ。いくら稼いで、いくら飲んだか。それがわかるだけのこと。ああ、ツライ。家内の視線は厳しいよ。とくに、ベロベロになった夜のタクシーについては、これはもう、ただひたすらコウベを垂れるのみだ。ビール飲むんだって、こっそり冷蔵庫をあける始末だ。まこと、精彩を欠く姿だね。なんて、ふだんキリッ、パキッとしてることはほとんどありませんが。

7月6日(火) ズルズルの1日の締めはやはり深酒       文責:タケ
 いくらなんでも、ちと飲み過ぎたよ。もう、朝からダハハ状態。午後からの取材中も集中切れちまう感じ。しかも、校了仕事なんかもあったりして、もうぐったり。テキパキできないから、しっかりとしていりゃ夕方に終わる仕事が9時を過ぎる、10時を過ぎる。ようやく終わったときには、ちょっとばかり熱くなっていて、おまけに酒も抜けているから、ああ、また行くことになる。ヤケクソな気分もある。だから、金もないのに、銀座に行く。銀座ってったって、小生は可愛いよ。少し飲んで、ぎりぎり終電でなんとか本読みながら帰る。でも、帰宅はしない。また、吉祥寺。今夜は『ハバナムーン』だ。ブラッディメアリーにラフロイグ、うー、今喋ってること、また明日、思い出せないんだろうな、などと思いつつ、ラフロイグお代り。

7月5日(月) 2面の平積みに狂喜酒               文責:タケ
 午後から横浜で仕事をし、編集部へ戻ってから神保町へ原稿届け。取材させてもらった飲食店に校正紙を持っていくのだ。その日のうちに校了だから、持っていってその場で確認してもらい、OKを出してもらわないと困る。だから、直々に行く。そこまでしなくてもと思われる人もいるかもしれないけれど、色校(最終校正紙)も見たいと言われたら断れない。だから、行く。ま、行けば行ったでビールの1杯も奢ってくれるだろうことは察しがつくので、本当はそれが目当てで行くのかもしれない。詮索しないでいただきたい。で、その用事が終わって三省堂書店にぶらぶら〜っと入っていって驚いた。我等が『酒とつまみ』第5号は、メインの雑誌売り場の平積みになっていて、しかも、2面で積んである。『文藝春秋』だって平台の山はひとつなのに、『酒とつまみ』は2本なのだ。しかも、『酒とつまみ』はウソみたいに薄い。内容も薄いかもしれないが、体裁も薄い。ということは、それだけ多くの冊数が積んであることになる。おお、自分でたまげた。いかなる力が働き掛けるとこのような2段積みというか2列積みが行われるのか。我等が編集部には、いかなる政治力もない。小生の営業力など屁みたいなもんだ。ということは、書店の店員さんのご好意、というより、熱い熱い思い入れのなせるワザなのだ。ああ、ここまでしてくださるのか。おれは、一昨日はゴロゴロしていて、昨日は川原で半泣きだったのに、こちらのお店では、こんなにまでしてくれているのか。そんなことを思ううち、今度はまた別の半泣き状態。そう、嬉し泣き。飲むしかないよねえ。友人Sさんに電話をかける。あのね、そう、だからさ、2段積み。だからさ、飲もう、ね、飲もうよ、って、無理矢理呼び出してまずは祝杯。それで物足りずに吉祥寺『WOODY』で痛飲。いや、うまい酒だったことよ。

7月4日(日) 日暮れの道志川でねばるよ            文責:タケ
 いくら調子の悪い週でも、1日、ほとんど酒を飲まない日をつくると、わが体調はウソみたいに回復する。わがレバーは、ふだん苛めているからエラく強くなっているのかもしれない。午前中から所用を片づけに入ると、昼過ぎにはなんとか片がついてしまった。あとは週明けに仕事場の資料を持ちかえって決算の追い込みをするだけ、という、なんかこう区切りのいい感じ。さて、どっか行きたいね。ええ、参りましたよ、ちょっと久しぶりの道志川。午後から行ってどうするって思うけれど、夕方、日が暮れるその瞬間も、いい頃合と聞いているから、それを試そうじゃないの、っていう軽い気分。で、3時ごろ、川原についた。もうね、エサ釣り。とにかく1匹釣って、持って帰って焼いて食いたい。その一念です。そして日暮れどき。いいよいいよ。そろそろだよと思っていたら、きました、アタリですよ。高鳴る胸を抑えつつ竿を上げる。おお、あれ? ハヤか……。ままよ、やっぱ、食いに入る時刻なのね、お願い、おいでよ、ヤマメさん。で、きました、きました、アタリだよ。ウォーッと竿を上げる。あっ! またハヤだ……。なんでー? と心の中で叫びつつ、急いでエサをつけて、また竿を振り込む。ところが、そこからが地獄。アタラないんだ。さっきまでのがウソのように、アタラねえ! どんどん日が暮れていくよ。時計を見れば6時半を過ぎた。川原は谷間になっているから、ちょっとばかり日が早く落ちる、というより暗くなる。もう少しで目印が見えなくなる。いけないよ、これは、見えなくなったらオシマイだ。気は焦るばかり。そして10分が経ち、15分が経ち、無情にもここで納竿かというときになって、目印がピクリ。息を止めるのと竿を少しだけ機敏に上げるのがほぼ同時。ビビっという手応えがあって、よっしゃー! あ、あれれ? 鉤はこのあたりだろうというあたりに目を凝らしても、魚の姿が見えない。バラしたか? すると暗闇の中に確かに魚の姿が見えてきた。手元へ寄せる。もうすっかり落胆しきって。左手の掌の上にすっぽり納まるほどの、小さな小さなヤマメさんなのだった。泣き笑い。それしかない。ていねいに鉤をはずして水中へ戻すと、しばらくじっとしていてから、赤ん坊ヤマメ、元気良く泳いでいった。ああ、終わった。腹減ったなあ。なんか食いてえ。ひとまずビール飲みてえ、と思いつつ、我慢我慢、自宅までの1時間半、半泣きのまま車を運転したのだった。

7月3日(土) 好きなつまみ作ってビールで読書        文責:タケ
 前夜の深酒のダメージはきついものがあるものの、軟膏と飲み薬が効いたとみえて、湿疹の痒さをあまり感じない。来週インタビューする予定の作家が書いた最新のエッセイを読みながら、ゴロゴロと、いい機嫌で午後を過ごす。さて、夕方。エッセイもあらかた読み終わって、今日はもう、休んでもいいか、好きなミステリーでも読みゃいいか、という状況となってやはり、飲みたくなってきた。ウロウロとスーパーの中をまわり、ネギ、トーフ、シシトウ、タコを買う。これで、大好きなつまみを2品つくる。つくるといってもひとつは刻んだネギに塩をふって木綿のトーフにたっぷり盛って、ゴマ油を垂らすだけの塩味の冷奴。もうひとつはタコとシシトウを炒めるだけ。だからまず、手順としてはネギを刻んで塩を振り、少し水が出てくるまでの間に、シシトウを洗って切る。フライパンにゴマ油をたらり。まず、適当に切ったタコを炒め、途中でシシトウを投入、塩、コショウ、炒まってきたところでナンプラーをたら〜り、最後に醤油をチョビ。これで1品完成。しなっとしてきたネギをトーフ一丁の上にテンコ盛りにしてゴマ油垂らして、さあ、2品完成。ものの15分。ビールを抜くだけだよ、あと、することは。おお、気がつけば、土曜日の夕方、テレビ東京の釣り番組2本立てタイムがもうすぐそこまで来ているではないか。窓からは気持ちのいい風も吹いているよ。いい夕方だあ!

7月2日(金) 西口やきとんに沈す                文責:タケ
 某雑誌の原稿と、書評のメルマガの連載原稿を書ききって気分のうるわしい宵。編集WクンとカメラSさんと連れ立って、まずは『上海ブラッセリー』。そこから帰るかというと帰らないで『西口やきとん』に流れた。通称ボール、というレモンハイを飲むよ。半分は焼酎ではないかという、濃いヤツだ。これが効いた、効いた。帰りの中央線の中あたりからがっくりきて、吉祥寺駅に下りたときには千鳥足。Wクンはしっかりしているが、小生はなにごとにつけ、しっかりしていない。足元ふらふら。撃沈状態。でも、今週も1週間終わったのだという気持ちがまだかすかに残っていて、行きましたね『WOODY』へ。飲むかまだ、いや、もう、飲めやしないんだ。でも、行くんだよ。財布の中に残っている千円札の枚数だけは、なぜかしっかり記憶しつつ。

7月1日(木) 請求書書きつつウトウトと            文責:タケ
 来たね。ばっちり二日酔い。『酒とつまみ』4号の請求書を書くのだが、ちっともはかどらない。眠くて仕方がない。こんな日もあるさ。今日は、今日こそは抜こうじゃないのって、言いながら缶ビール1本。こんな日もあるさ。


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